2012年2月22日水曜日

続・いいわけ

日曜日に没収されてしまった単車

これを取り戻すには免許証の再交付が必要に成る


JR福知山線のローカル列車内では

彼女と それでも楽しい旅にしてあげなければ可哀想なので

帰りの道中は それなりに列車の旅を楽しんだ

しかし頭の中は単車の事でいっぱい

それまで片時も手放した事のない単車だった

如何にして少しでも早く手元に戻すか・・・

その事だけが気がかりだった


次の日月曜日

簡易裁判所へ向かい

本来であれば無免許運転に成るところだったが

担当したお巡りさんが配慮してくれて

「うっかり失効」と言う名目にしてくれたお蔭で

普通の免許更新の手続きだけで済む…との事だったのです



簡易裁判所では簡単なやり取りをした記憶しか無く

次の日 火曜日

門真の試験場へ行き

更新の手続きと お約束の講習を受け

15時に終了

はれて免許証を手にして   さてどうしたモノか

明日も会社をズル休みをしようか…どうか


悩むこたぁ無い

今から行けば良いではないか…と

ひとり阪急電車の小豆色の車両に乗り込み

梅田へ向かい

そこから大阪駅へ徒歩で向かう

JR福知山線に乗り込んだ


今とは違い 列車の出入り口である扉も 任意で開閉できるモノ

私は 扉を開けたまま 入り口3段くらいの階段に座り込み

独りローカルの旅を楽しんだ



緑深い街を通り抜け  遠くにはJRと平行して流れるような道路に

車や単車が走っているのが見える

あぁ のどかで平和に見える風景だな~


きっと 向こうに見える風景の先で

私とは別の生活と 人生の営みが行われているのかと思うと

不思議に思える




あの緑の風景に溶け込んで あの路を走ってみたい

そうすれば私も幸せになれるかな・・・


そんな事を考えていた事まで思い出した


すぐ足元に赤い鉄橋の鉄骨が走るように横切って来る

緑の香りが鼻を抜ける

とても気持ち良い




やがて夕暮れが訪れ 景色が青色に染まり 空が紫色に深まってゆく

山の向こうには夕焼けが微かに見え もの悲しい気持ちにされてゆく



俺の単車は あの山の向こうにあるのかな・・・って思ったっけ


そうして21時ちょうどに福知山へついた




駅には誰もいない

駅員が寂しげにひとり立っている


福知山警察まで国道沿いを歩く

田舎の街だ 街灯なんかも傘に電球がついた簡単なもの

少し肌寒い

ヘルメットを掴んだ手が 少し重たくなってきた


今の様な重装備で走っていなかった昔は

薄い革ジャンにGパン姿で

9月の夜には 少し厳しいものがあったよな



程なく警察署へ到着

警察署の窓口や事務所には人影が少なく

蛍光灯も ところどころ消されており 薄暗い事務所だった


当直の警察官に声をかけ 単車を引き取りに来た事を伝えたが

担当の警察官が既に帰っているとの事で 出直してくれと言われたときには

さすがに焦ってしまった

『実は大阪から来たのです』

多分 泣きそうな顔だったのだろう 警察官も驚いたような顔をしていた

『それじゃぁ 担当者の自宅に電話してあげよう』

黒電話のダイヤルを回してくれた あの時間を忘れない

『もしもし 先日のバイクの者です・・・ やっとの思いでやってきましたが 担当の方が居ないとの事で この電話をしてくれたのです』

『いいですよ 持って帰ってください  横に居る警官と電話を代わってくれる?』


それから短い会話をした後 単車を引き取る許可を得る事が出来

ほっと安心したのでした



つづく

2 件のコメント:

mj さんのコメント...

行動力と言うのでしょうか?
この決断の速さは素晴らしいですね。

PorcoRossoさんの元に集う人たちは、このパワー(行動力)に引かれているのではないでしょうか。

ポルコロッソ さんのコメント...

いえいえ

私は待つのが嫌いで
ワガママなだけです

仕事も昔から
労せず利を得るタイプの
人間で
同じ様な人が居たら きっと嫌うでしょうね(笑)

PorcoRosso